新年度が始まる4月、「春のリモート研修会」を実施しました。石井方式の基本的な考え方などを解説する講義に加え、今回は元テレビアナウンサー岡崎ゆう子先生による美しい言葉を使う方法についてなどの2講義を、園の先生方に配信しました。(主催:幼年国語教育会 後援:株式会社登龍館)
前半で、「言葉を漢字で教える教育法」「読み先習」といった石井方式の基本理念を説明。幼児にとって、かなより漢字の方が覚えやすい理由など、幼児期の特性と漢字記憶の相性の良さを解説しました。さらに、漢字を用いて幼児期に語彙を豊富にしておくと、論理的記銘能力が早くから急上昇し、優秀な子に育つ点からも、石井方式は幼児期の適時教育と言えると説明。また、語彙が豊富だと、物事を細やかに理解・表現でき、思考力や智能が高まり、情緒が安定するものであり、そのような豊かな言葉を育むのが石井方式との説明もありました。
後半は、園での実践例の録画を流し、漢字かな交じり絵本の読み方や、童謡の歌唱時に歌詞のキーワードを漢字表記したカードを先生がボードに貼りながら歌うなどの事例を紹介しました。
岡崎ゆう子先生
言葉はコミュニケーションの基本で、発する言葉は話し手の品格や人格を表すと説明。差別語や不快語は、歴史的背景や時代、相手との関係によって感じ方が変わるので人を傷つけないよう注意が必要と述べられました。また、相手が欠点だと思っている性格を別の視点から長所として捉えて、人を前向きにする声掛けを紹介。そして、標準語の成り立ちやハキハキ明るい印象になる話し方についても解説され、言葉に気を付けてよりよい人間関係を築いていってほしいと話されました。
岡崎ゆう子先生
日本語の文章において音声の高さは上から下へ落ちていくという法則を紹介。例文を使って受講者も読みの練習ができる実践的な講義が行われました。「まずは基本の読み方ができることが大事。色付けはそれから」と話され、言葉を強調する方法や音の高低差の幅による表現の工夫を解説。また、「表現の仕方に決まりはなく、より自分らしい、相手に伝わりやすい読みにチャレンジしてみてください」と声援が送られました。
絵本や数遊び、『言葉と作法』などの指導方法の実践的なトレーニングを行いました。大阪会場の様子を紹介します。
「絵本指導」では、講師がまず指導のデモンストレーションを行い、読みカードの見せ方や絵本読みのポイントを解説。登場人物ごとの声の抑揚の付け方や間の取り方など具体的な説明がありました。次に受講者一人ずつが絵本を読み、講師から個別のアドバイスを受けてコツをつかんだようでした。「絵本の読み聞かせやカードを提示する時に、笑顔で楽しく子供たちを見ることが大事」とのアドバイスもありました。「数遊び指導」では、百玉算盤の指導で講師が実演しながら玉をはじくコツや数字を言うタイミングなどを説明。「リズミカルにテンポよく数えると、子供たちが集中しやすい」という解説を受け、受講者が交代で先生と生徒役になって練習しました。ほかに時計の指導もありました。受講者全員からは「ポイントやコツを詳しく教えてもらえたので、子供たちが楽しんで学べるよう今回の研修を活かしていきたい」などの感想がありました。