熊本市から南東へ約15キロ、九州山地への入り口に御船(みふね)町が位置します。今回ご紹介する滝尾幼稚園はその町にあります。現在放送中のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」は吉田松陰一家を中心とする物語ですが、松陰が最も信頼した無二の親友・宮部鼎蔵(ていぞう)がこの御船町で生まれて活躍しました。園長の古閑榮実(こがえいじ)先生は、そのことを大変誇りに思われ、そのような人材を園から輩出することを心から願っていらっしゃいます。
園では、就学前の教育が人生で最も重要なことであり、幼児期に芽生えた知力・気力・体力は成長する上で大きな影響をもたらすとの考えのもと、次の四つの教育目標を掲げています。
1 素直で思いやりのある子供
2 健康で元気な子供
3 色々な事に興味を持ち、自主的に取り組む知的な子供
4 責任感のある子供
石井方式漢字教育は約10年前に導入され、今では園の教育の土台となっています。園児たちにはやる気がみなぎり、静と動のメリハリがあります。先生の方を向いて話を聞く態度が良く、学ぶ時の集中する姿勢が定着しています。園は、歩く・スキップ・横跳び・走る等を取り入れた体操にも力を入れており、まさに文武両道です。
園長先生はおっしゃいます。「1年の中で最も力を入れているのが、運動会・音楽会・劇発表会に向けた練習です。目標に向かいみんなで取り組む時間を大事に、『このくらいでいいだろう』という考えは捨て、最後まで頑張るという気持ちを培う教育を進めています」
園は、地域の子育て支援にも積極的に取り組まれています。幼稚園型認定こども園の認定を受け、2歳児クラスを設けるとともに、敷地内に認可保育園の滝尾たんぽぽ園も開設し、こちらでは0・1・2歳児が入園できるよう体制を整えています。
保育参観では毎年、各界から優れた先生を講師としてお招きし、教育講演を行っています。教育哲学者の森信三先生にお仕えした寺田一清先生には、立腰・しつけの重要性をお話しいただきました。教育学者の髙橋史朗先生には、石井方式漢字教育と親学についてお話いただき、その際には熊本県親学推進議員連盟の県議も同席され保護者と活発な意見交換がなされました。
園長先生は次のようにおっしゃいます。「心身ともに成長していく幼児にとって、たくましい体と強い心、思いやりのある心を育てる教育が大切です。私たち滝尾幼稚園のスタッフは、園児一人ひとりの個性を大事に人間力を伸ばす手助けをしてまいりたいと思います」
園長先生のこの力強い言葉をうかがって、園を後にしました。