鹿島神宮に鹿島アントラーズ、夏場は海水浴客で賑う茨城県鹿嶋市。今回は鹿島灘の潮騒を耳に、緑多き松林と共に半世紀の歴史を刻んできた「大野めぐみ保育園」、そして、北浦に面し霊峰筑波山を望む姉妹園「大野ひかり保育園」をご紹介いたします。
創立当時、地域住民の大部分が農漁業に身を置き、農繁期には子育てに手を掛けられない若夫婦がほとんどでした。昭和33年、そんな住民の苦境を見かねた中西シゲ園長先生が、「幼子を預かり、地域の手助けをしたい」と、慈眼寺住職のご主人と共に寺を開放し、早朝から夜遅くまで乳幼児を預かったのが大野めぐみ保育園の始まりです。
園舎に入ると大野ひかり保育園園長の中西良健先生の見事な書や絵画に目を奪われます。ホールの天井を見上げると卒園児が制作した漢字かな交じりの日本国地図や世界地図。子供たちはそれを眺めながら午睡に入ります。
七夕流し、凧揚げ大会、魚釣り、貝拾い、浜辺での砂遊び、筑波山登山、老人ホームのお年寄りとの触れ合い、慈眼寺でのお泊まり保育等、太平洋と北浦の環境を活かし、子供たちが素直な心で明るく元気に成長するようにとの願いを込めた行事が盛りだくさん。
また、年間を通して「鼓隊」「和太鼓」に取り組み、日々の練習を通して集中力や協調性、意欲を養い、感性を高めています。
日課では、腰骨を立てて、石井方式「漢字かな交じり絵本」や音読・道徳教科書『言葉と作法』を元気いっぱいに音読します。また、童謡を歌ったり、時計や百玉算盤を使用しての数遊びや『あいうえお一二三』のワークで書き方練習を行っています。
中西三千子副園長先生より、ある保護者から寄せられたエピソードを伺いました。母に叱られた子供が、「叱られるのは愛されている証拠だよね?」とつぶやき母親はびっくり。子供が毎日音読している『言葉と作法』の「叱って下さるのは、愛されている証拠です。」の一文からの発言に母親は感動し、また反省させられたとのことです。
保育信条は『ありがとう、ごめんなさいを素直に言えるこども』。「こうした躾、養育ができれば、世の中平和になるだろう」と仰るシゲ園長先生は、平成20年、長年の功績が認められ、瑞宝双光章を受章。先生の思いは若い先生方にも受け継がれ、しっかりと保育に生きています。
「自分の子供もこの保育園に入れたい」。親になった卒園生が数多く再来するこの両園は、訪れる誰をも温かい気持ちにさせてくれる保育園です。